楠 正信 
平成31年第1回定例会 条例予算特別委員会/03月11日 総会質疑
◯楠委員 公明党福岡市議団を代表して3点質問する。
最初に、財源としての基金運用についてである。市民生活に必要な行政サービスを安定的に提供するためには、将来にわたり持続可能な財政運営とする必要がある。そこで、市が保有している基金の管理、運用について質問する。本市は31ある基金のほとんどを1つにまとめて、より効率的に運用していると聞いているが、そのまとめて運用している基金の総額はどれくらいあるのか、また、新年度予算のうち、基金運用で得ることになる受取利息額と歳計現金の不足を補うために借り入れる一時借入金の支払利息額を尋ねる。
△財政局長 財政局において一括運用している基金の29年度末残高は約3,077億円となっている。31年度当初予算案における一括運用基金の利子収入の総額については、約42億9,000万円、一般会計における一時借入金利子については、1億1,000万円を計上している。

◯楠委員 新年度は支払うであろう一時借入金利息を差し引いた約42億円が運用の純利益となると考えられ、本市は42億円の利益を出す1つの企業を懐に持っているようなものである。市税収入は伸びているものの、地方交付税等の減により、一般財源の大きな伸びは期待できない中、この基金運用による受取利息は大事な財源となる。運用はどのような金融商品で行われているのか、リスクはないのか尋ねる。
△財政局長 財政局において一括運用している基金については、国債、地方債等による債券運用のほか、歳計現金への繰替運用、預金などによる運用を行っている。また、債券運用において対象とする金融商品については、基金の債券運用指針に基づき、国際決済銀行の信用リスクウエートがゼロパーセントとされている国債証券、地方債証券、政府保証債証券としている。

◯楠委員 モーターボート競走事業会計から一般会計への繰り入れが約20億円であるので、これに比べても、基金を1つにまとめる運用で得ている利益は大きな財源となっている。直近5年間の運用の純利益の合計を尋ねる。
△財政局長 基金運用による利子収入額から支払った一時借入金利子を差し引いた額の過去5年間の合計額については、約194億円となっている。

◯楠委員 5年間で約200億円の財源を得ている。毎年確実に、安定的に財源として得られるのがこの基金の運用である。しかも基金運用の担当職員は2人である。2人で42億円の利益を出す、このような基金運用システムを構築した財政局に心から敬意を表したい。安全な金融商品を活用し、1つにまとめて一括で運用するこの方法はいつから始まったのか、また、どのような運用方針を定めているのか尋ねる。
△財政局長 財政局において一括して基金の運用を始めた時期については、基金の運用について方針を定めた平成13年3月からである。この運用方針においては、効率的な運用と事務軽減を図るために、各局が所管している基金を財政局において一括管理するとともに、その運用方法は国債、地方債等による債券運用を初め、歳計現金への繰替運用や預金等により行うこととしている。

◯楠委員 13年度より前はどのような基金運用を行っていたのか尋ねる。
△財政局長 基金の運用方法については、原則的には各基金を所管する局において預金等により運用する方法で、一部の基金については財政局が一括管理し、優先的に行う歳計現金への繰替運用のほか、預金運用を行うなど、会計年度内での短期運用により利子収入を確保していた。

◯楠委員 12年度までは支払いに必要な現金の不足をやりくりするための一時借入金利息が高く、基金現金はほとんど資金運用されることなく、優先して日々の支払いに充てられていた。ほんの15年前までは多額の受取利息などを見込めない状態だった。その後、財政局の努力により、今では42億円の受取利息を生んでいる。そこで、他の都道府県、政令指定都市との比較において、現在、運用利回りの高い順で本市は何番目に位置しているか尋ねる。
△財政局長 基金の運用利回りについては、その算出方法に統一基準があるわけではないが、29年度決算について、ホームページで確認することができた範囲で答えると、16の都府県及び6つの政令指定都市との比較において、本市の運用利回りは1.671%で第1位となっている。

◯楠委員 断トツの日本一である。財政局で一括運用されている基金現在高は3,077億円で、ここから利息が生まれる。基金運用の稼ぎ頭である国債や地方債などの債券から利益を得る方法には2つある。1つは債券を満期まで手元に置き、利息を得る方法。もう1つは価値のある債券を売り、その売却益を得る方法である。本市の場合、債券は満期まで手元に置く満期保有が原則と聞いているが、債券運用の指針にはどのように定められているのか尋ねる。
△財政局長 基金の債券運用指針においては、地方自治法の趣旨を踏まえ、確実性の確保を掲げており、具体的には、債券運用は収益性が高い反面、リスクを伴う運用であることから、そのリスク回避に対応した運営を行うものとし、購入した債券はその確定した元本及び利息を確保するため、満期償還期限までの保有を原則としている。

◯楠委員 その指針の原則に反して、含み益のある、価値のある債券を売却した実績はあるのか。
△財政局長 地方自治法において、基金は確実かつ効率的に運用しなければならないと規定されており、本市の基金の債券運用指針においても、確実性の確保とあわせて、最も経済的な価値を十分に保全、発揮できる効率性の確保を図ることとしており、一時借入金の金利を踏まえるなどしつつ、21〜25年度にかけて債券を売却した実績がある。

◯楠委員 債券運用指針に定められている満期保有が原則でありながら、なぜ5年間続けて債券を売却してきたのか、また、各年度の債券を売却して得た利益額を尋ねる。
△財政局長 債券の売却については、一時借入金金利と比較して利率が低い債券の売却や市場金利の影響の回避などを目的として実施したものである。また、5年間の債券売却益の合計額については、約23億5,800万円となっている。

◯楠委員 受取利息ではない、債券を売却して得た利益が5年間で約24億円あるとの答弁だった。基金運用の効率化を図るために手持ちの債券を売却したとのことだが、運用指針の原則に外れて、毎年特例と称して決裁をとっていたのか、21年度はどのような理由で債券を売却したのか、また、売却された債券の合計額も尋ねる。
△財政局長 21年度においては、一時借入金金利を下回る利率の債券等を必要な歳計現金の確保等のため売却したもので、その合計額は約247億円となっている。

◯楠委員 以前に提出された資料によると、約250億円の債券は258億6,000万円で売れた。8億6,000万円の売却益である。さらに、元金の250億円でより金利の高い債券に買いかえたことにより受け取る金利も多くなった。その証拠に、22年度も23年度も、受取利息が1億3,000万円増加している。本市が21年度に運用の効率化に取り組んだときのように、債券を売るリスク、債券を買いかえるリスクの両方をコントロールできるのであれば、基本の運用の部分ではなく、その他の運用の一部を活用し、運用益の効率化を図る取り組みを検討すべきと考えるが、所見を伺う。
△財政局長 債券の売却を必ずしも否定するものではないが、満期を待たずに債券を売却することは、将来得られるはずの利子収入を先取りし、一時的に現金を確保できる側面はあるものの、売却価格は市場金利の影響を受けることとなり、運用益の安定的な確保や元本の確実な確保といった法令等の趣旨にのっとった確実かつ効率的な運用が困難となる場合も想定されることから、慎重な検討が必要であると認識している。なお、本市における金利の運用については、他の都府県や政令指定都市と比較しても、高い運用利回りを確保している。引き続き、法令等の趣旨を十分に踏まえながら、他団体の事例を含め、運用方法等の情報収集を行い、より効率的な運用となるよう研究していく。

◯楠委員 慎重な検討の上、取り組みを進めていただきたい。一括して運用されている基金のうち、利息配分が多い3つとその運用益はどのように使われたのか具体的に尋ねる。
△財政局長 29年度決算において、利子収入が多い順に基金の名称とその額を答える。市債管理基金が約33億円、港湾整備事業基金が約4億円、財政調整基金が約2億円となっている。また、利子収入については、各基金条例に定める使途に充てており、具体的には市債管理基金は市債の償還財源に、港湾整備事業基金は港湾整備事業等に、財政調整基金は財源が不足する場合や災害により生じた経費等に活用している。

◯楠委員 市債管理基金の33億円の運用益の使われ方は市債の償還の財源に充てられているとの答弁だった。一般会計などから公債費として支出されるべき約33億円が浮いたわけであるから、一般会計の中で財源として何に使われたのかを明確に説明すべきと考える。市の全体の事業のどこかに使われているでは納得できず、実感もない。大事な公金から生まれ出た財源であり、市民生活の向上に具体的に使われるべきと考える。港湾整備事業も同様である。約15年前はほとんど何もなかった利子収入であるので、4億円は港湾のどの整備事業に使われているのか説明すべきである。今後も継続して長く受け取ることのできる貴重で大きな収益であるからこそ、財源としての基金運用の管理方法や運用益の具体的な活用方法など、研究、検討の余地はあると考えるが、所見を伺う。
△財政局長 財政局において一括管理している基金の運用状況については、運用方法やその実績、他都市との比較などを含め、ホームページで毎年公表している。加えて、平成30年7月から全ての基金の現況についても、透明性を確保し、積極的に市民への説明責任を果たすことで、より適切かつ有効な運用を図るため、新たに基金現況調書を作成し、基金の造成目的や取り崩し方針、残高、運用利子などについてホームページで公表している。なお、利子収入については、あくまでも各基金の運用により生じたものであり、各基金条例に定める使途に充てることになっている。今後とも、より効率的な基金運用とわかりやすい情報の提供に努める。

◯楠委員 障がい者優先調達の実績についてである。障がい者の仕事を確保し、自立を進めるための障害者優先調達推進法が施行されて、本年で6年が経過した。最初に、この推進法は地方自治体にどのような取り組みを求めているのか。また、本市の物品等の調達を図るための方針を尋ねる。
△保健福祉局長 障害者優先調達推進法においては、地方自治体は障がい者就労施設などの受注の機会の増大を図るための措置を講ずるよう努めなければならないとされている。また、就労施設などからの物品等の調達を推進するため、方針を作成し、調達の目標を定めるとともに、調達の実績の概要を取りまとめ、これらを公表することが求められている。本市では、就労施設などで働く障がいのある方の経済面での自立を支援するため、安定的な就労の機会が提供されるよう、優先的な物品等の調達に全庁的に取り組むこととしている。

◯楠委員 本年1月、福岡市障がい者差別解消条例も施行され、障がいのある人もない人も共に生きるまちづくりが進められている。その人が持つ力を社会の中で発揮できるよう、サポートしていくのが障がい者支援の基本的なあり方だと思う。障がい者就労施設からの物品や公的な仕事など、優先的に調達された本市の実績は、法が施行された25年度から現在、何倍になっているか尋ねる。
△保健福祉局長 調達実績については、各局、区が直接契約を行った実績額を計上しており、外郭団体などの調達額は算入されていないが、29年度は9,185万円余、25年度は7,861万円余であり、約1.17倍となっている。

◯楠委員 実績は5年が経過しても1.17倍と低い伸びにとどまっている。政令指定都市である札幌市、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市の29年度の優先調達の実績を尋ねる。
△保健福祉局長 各都市の実績については、調達の経緯や状況の違いはあるが、札幌市が1億8,615万円余、横浜市が2億4,024万円余、名古屋市が3億8,291万円余、大阪市が1億5,653万円余、神戸市が5億6,439万円余である。

◯楠委員 本市の実績は9,185万円であったが、北九州市の29年度の実績を尋ねる。
△保健福祉局長 北九州市は、2億5,749万円余となっている。

◯楠委員 我が会派は、他都市と比較して低くなっている調達目標額の設定見直しや、市が発注する物品や公的な仕事の内容の拡大を求めてきたが、実績がなかなか伸びない、気にかかる点が幾つかあるので尋ねていく。優先調達として、動物園の清掃業務が委託されている。真面目で粘り強いといった個人の特性が生かされ、生き生きと仕事をしている。しかし、働く場は年々縮小を余儀なくされている。動物園清掃業務の26年度の契約と30年度の契約の実績を尋ねる。
△住宅都市局長 26年度の契約額は1,296万円、30年度の契約額は918万円である。

◯楠委員 毎年契約金額が下がり続け、5年間で約400万円下がっている。何人もの人件費をカットしなければならない。入札による事業者間の契約金額のたたき合いで、優先調達どころか、働く場を安値で奪い合っているのが現状である。なぜ最低制限価格を設定しないのか。優先調達の目的や意義に沿うことができない理由を尋ねる。
△住宅都市局長 動物園園路、便所等清掃業務委託の契約では、福岡市障がい者就労施設等優先調達方針を踏まえ、市のホームページ上でお知らせし、就労継続支援A型事業所から広く参加者を募った上で随意契約を行っている。最低制限価格については、地方自治法施行令において、競争入札の場合は最低制限価格を設けることができる旨の規定があるが、随意契約では同様の規定がないため、当該契約では最低制限価格を設定していない。なお、適正な履行を確保する観点から、業務仕様書において、配置人員数及び就労時間を明記し、その数量に最低賃金を乗じた額を下回るような見積もりを行わないよう指導を行っている。

◯楠委員 最低制限価格を設けることができないとの答弁だったが、優先調達の中で、指名競争入札として最低制限価格を設定している実績が本市には既にある。一般事業者からのクレームも一切ない。障がい者就労施設からの調達を率先して推進すべき職員の発言で、予算繰りが厳しいという発言があった。予算繰りが厳しいというだけの理由で見積価格を下げさせ続けるというのは、障がい者差別解消条例の趣旨にそぐわないと考える。他局の事例もしっかり聞いて、早急に入札や見積依頼の内容を改めるべきと強く要望しておく。次に、えがお館の清掃業務の委託についてである。えがお館は最低制限価格は設定されている。この最低制限価格と清掃業務の内容、手順、また、清掃業務で何人の障がい者を雇用できると想定しているか尋ねる。
△こども未来局長 障がい者優先調達については、清掃業務委託として、1階のエントランス、5〜7階の執務スペース及び地下駐車場について、毎日行う日常清掃とワックスがけなどを行う年4回の定期清掃を委託している。30年度の最低制限価格は432万円余で、全庁的なルールにのっとり算定している。委託業務は、おおむね責任者1人と障がい者2人が従事していると報告を受けている。

◯楠委員 えがお館の清掃業務の最低制限価格は432万円。この432万円に入札で事業者は張りつく。作業責任者が午前9時〜午後6時まで立ち会うのが決まりであるので、障がい者施設の職員の配置が1人必要だが、職員1人の平均的な給与350万円を計上すると残りは82万円になる。職員の給与を国の給付費で賄えるのは、障がい者7.5人に1人の場合だけである。一部を除くえがお館全体のフロアやトイレ清掃、ワックスがけなどの清掃作業を年間82万円、月6.8万円で何人の障がい者を雇用できるのか。現状では、作業責任者は障がい者施設の職員ではなく、学生アルバイトでなければやりくりはできない。公的な仕事をさせてやっているのではなく、障がい者が安心して働ける場の提供が目的であるということを忘れているのではないか。障がい者優先調達に係る新年度の予算額を物品と公的な仕事とに分けて尋ねる。
△保健福祉局長 優先調達については、例年、各局、区において新年度予算をもとに前年度を上回るよう工夫、調整し、障がい者就労施設などからの調達目標額を定めている。また、年度当初に開催する福岡市障がい者施策推進本部において、さらなる増加となるよう調整を行い、市全体の計画を決定し公表することとしている。31年度の目標額については、現在、前年度を上回るよう調整を行っている。

◯楠委員 いまだに目標額を設定していない、優先調達をするかしないかは、新年度予算が決定した後、各局でその年度の調達内容を決めていくことになるとの答弁だったが、確定している優先的な調達は何一つない。ここも原因は予算繰りが厳しいということだろう。財政局には優先調達の本来の目的を理解し、各局の概算要求額の一律カットだけを訴えるのではなく、福祉分野などの最低限固定化しなければならない財源を確保し、各局と調整すべきと強く要望しておく。優先調達の物品の購入などは、就労継続支援B型事業所の障がい者が受け取る工賃につながっているので、確実な発注、確実な増額が求められる。直近、29年度の物品の調達実績と前年度と比較しての増減を尋ねる。
△保健福祉局長 29年度の調達実績については1,209万円余となっており、28年度の実績1,162万円余に比べて46万円余の増となっている。

◯楠委員 前年度よりもわずか46万円の増加にとどまっており、工賃アップの効果は薄いのではないか。就労継続支援B型事業所における29年度の平均月額工賃を全国、福岡県、本市と比較して示されたい。
△保健福祉局長 就労継続支援事業所については、一般企業への就職が困難な障がい者を対象に就労の機会を提供する障害福祉サービス事業所である。B型事業所における29年度の平均月額工賃については、全国が1万5,603円、福岡県が1万3,841円、本市が1万3,527円となっている。

◯楠委員 本市の1人の平均月額工賃は、全国と比べて約2,000円下回っており、県と比べても本市は低くなっている。障がい者が受け取る工賃は、民間企業からの発注もさることながら、土台となる優先調達の下支えがなければ向上することはない。調達目標額が前年度実績よりも下回って設定された年度があったのか尋ねる。
△保健福祉局長 26年と30年度である。調達目標額については、各局、区において前年度の目標額を上回るよう設定しているところであるが、対象となる事業に係る計画や予算額の状況によっては前年度を下回る場合もある。

◯楠委員 目標額よりも実績が少なくなるのはわかるが、前年度の実績よりも最初から目標額が下がるのは理解できない。発注があるときもあればないときもある。公的な仕事の入札も、3月の年度末ぎりぎりに通知があるので、落札できずに仕事がとれないときは数日後の4月から無職になる障がい者が出てしまう。毎年不安定な職場環境を余儀なくされているが、他都市は違う。きちんと予算化され、物品も公的な仕事もほぼ確保されている。以前から福祉訓練などで委託されていた清掃業務やリサイクル業務は、就労継続支援A型、B型の法律の整備が進むにつれ、コスト削減のため自治体単費であるという理由から民間委託へ移行されていった。本市も同様であったようだ。しかし、先ほどの優先調達の実績の高い自治体は、その自治体単費で賄っていた福祉的委託を我慢強く継続し続け、それが優先調達の土台となっている。また、作成を義務づけられている優先調達の方針では、目標設定の方法や予定価格の設定の仕方、行政の役割としての意義や方向性、そして、障がい者就労施設に対する留意点など、進め方が具体的に明示されている。しかし、本市の優先調達の方針は、適用となる範囲や対象となる事業所、手順のみが記載され、何のために誰がどのように推進しているのか、具体的な明示は一切書かれていない。他都市の方針を参考にしながら、本市の方針の改定を行い、各部局が障がい者の自立した生活を支援するという同じ思いに立てる取り組みを進め、優先調達の実績の拡大に挑戦していくべきと考えるが、所見を伺う。
△保健福祉局長 副市長を本部長とする福岡市障がい者施策推進本部を設置し、毎年度、障がい者就労施設などからの調達目標額を盛り込んだ調達方針を策定し、優先調達の拡大に向け全庁的に取り組んでいる。また、民間企業への販売を促進させるため、マーケティングに関する講座を開催するなど、営業力、販売力の向上にも取り組んでいる。これらの取り組みに加え、委員指摘の他都市の例を参考に、就労施設などからの調達に係る意義や基本的考え方を盛り込むなど、調達方針を充実させるとともに、効果的な発注のあり方について関係局と協議を進めることなどにより調達の拡大に努める。

◯楠委員 優先調達の目的は、一人でも多くの障がい者に経済的な自立の道を広げていくことであり、決して形だけで終わらせることなく、障がい者に寄り添った、血の通った運用であることが不可欠であると考える。その目的に沿った福岡市障がい者施策推進本部の責任者である荒瀬副市長の今後の決意を伺う。
△荒瀬副市長 本市では、障害者優先調達推進法の趣旨を踏まえ、率先して就労施設からの物品を調達していくため、庁内に各局区長で構成する推進本部を設置して全庁的な取り組みを進めるとともに、数値には計上していないが、庁内に限らず外郭団体のほか関係団体にも協力をいただいている。あわせて、ときめきプロジェクト等で、就労施設の物品等の魅力を積極的にPRすることなどにより、民間企業への販路拡大にも努めている。推進本部などにおいて優先調達の意義や重要性を改めて全庁的に共有し、就労機会の拡大を図り、一人でも多くの障がいのある方が経済的な自立と働く喜びを実感できるよう、しっかりと取り組みを進めていく。

◯楠委員 自転車の放置防止に関する条例についてである。ある高校生から、余りにも悔しいので話を聞いてくださいと相談を受けた。大学受験を前にして塾に通い、勉学に励む頑張り屋である。天神、大手門2カ所の塾に自転車で通っていたが、夏休みのある日、いつもとめている天神地区の駐輪場の鍵が壊れていてとめることができなかった。鍵は何カ所も壊れており、時間に追われ、やむなく壊れている鍵の前にとめて塾に向かった。戻ってくると、自分の自転車は放置自転車として撤去されていた。高校生にとっての自転車は、どこへ行くにも必要な移動アイテムである。その日の夜、保管場所に2,500円を用意し引き取りに行ったそうである。3日後、もう1つの塾がある大手門に向かったとき、全く同じ状況に遭遇した。鍵は壊れているだけではなく、鍵そのものが撤去されていた。昨年の9月の時点でも地下鉄大濠公園駅出入口付近の5ブロックもの駐輪場が同じ状況となっていた。ここでもやむなく、駐輪場内の鍵の撤去された前に自転車を置いて塾に向かった。戻ってくると、ここでも放置自転車としてその子の自転車は撤去されていた。いつものとおり、ルールにのっとり駐輪場にとめ鍵をかける意思があるのに、なぜこのような仕打ちに遭うのか。この子は何かわなに仕掛けられているようで悔しくてしようがなかったと訴えている。ルールどおりに自転車をとめさせることができなかったのは、行政の側に落ち度があったと思う。そもそも放置自転車とは、どのような定義になっているのか。この高校生の自転車の場合、条例のどこに違反しているのか尋ねる。
△道路下水道局長 まず、放置自転車の定義であるが、自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律、いわゆる自転車法の第5条第6項において、駐輪場以外の場所に置かれている自転車等であって、当該自転車等の利用者が当該自転車等を離れて直ちに移動することができない状態にあるものとされている。次に、路上駐輪場内で適正に駐輪していない自転車が放置となる根拠であるが、自転車駐車場条例第6条において、有料駐輪場の利用者は市長の利用承認を受けなければならないとされており、路上駐輪場については同条例施行規則において、駐輪機器の施錠をすることで利用承認があったものとみなすとされている。したがって、放置禁止区域内の道路上に暫定的に設置している路上駐輪場内で駐輪機器の施錠をせずに駐輪している自転車は放置自転車となり、自転車の放置防止に関する条例第9条の自転車の利用者等は放置禁止区域内に自転車を放置してはならないとの規定に違反するものである。

◯楠委員 市長に見ていただきたい写真がある。これが高校生がとめようとした駐輪場である。全部壊れている。隣のブロックも全部壊れている。どこにとめろと言うのか。けさもここに行ってきたが、全く同じ状態であった。高校生は、路上駐輪場内で条例の定めているとおり、鍵をかけ、市長に有料駐輪場の利用承認を受けようとしたが、鍵そのものが撤去されて承認を受ける手段を失っている。それは1カ所だけではなく、周辺駐輪場も同じ状況であった。放置禁止区域であるとの掲示は駐輪場の外にあっても、駐輪場内に撤去の対象となる旨の掲示はない。先ほどの駅出入口付近の5ブロックの駐輪場の鍵は、9月の時点で2分の1以上が故障し撤去され、駐輪場の鍵の大がかりな補修を行わなければならない状況であった。条例では、補修のための駐輪場の休場を行うことになっているが、半年経った現在も補修のための駐輪場の休場は行われていない。条例に定める施設及び附属設備の維持及び修繕に関する業務を怠り、自転車駐輪場の適正管理義務に違反している可能性がある。高校生が違反しているのではなく、本市に管理瑕疵があり、この高校生に謝罪すべきと考えるが、所見を伺う。
△道路下水道局長 指摘の自転車については、先ほど答弁したとおり条例の規定上放置自転車となってしまうものである。大濠公園駅路上駐輪場については、平成31年3月時点で収容台数320台の約24%に当たる76台が使用中止となっている。当該駐輪場は平成15年に整備したもので老朽化が進み、修繕が十分に行き届かず、学生を含めて駐輪場利用者に不便をかけている点について申しわけなく思っている。できるだけ早く改善を図っていきたい。また、今後とも適正な自転車利用の啓発に努める。

◯楠委員 半年間以上放置されている地下鉄大濠公園駅周辺の駐輪場の鍵の補修などを早急に行うべきと考えるが、所見を伺う。
△道路下水道局長 大濠公園駅路上駐輪場については、平成31年4月から、民間事業者を活用した手法により駐輪機器の更新に着手することとしている。また、これによって故障への迅速な対応も可能になるものと考えている。

◯楠委員 地下鉄渡辺通駅周辺の自転車放置禁止区域について尋ねる。まず、中央区清川サンロード商店街のアーケード内自転車放置禁止区域の指定経緯を尋ねる。
△道路下水道局長 清川サンロード商店街については、地下鉄渡辺通駅地区自転車放置禁止区域の区域内となっている。渡辺通駅周辺地区については、放置自転車が多く、清川サンロード商店街を含む地域住民の方々から放置自転車対策の強化について要望があったため、22年度の路上駐輪場整備にあわせ、中央区自転車等駐車対策推進協議会での会議を経て、平成23年2月に放置禁止区域に指定している。

◯楠委員 サンロード商店街や地域住民の方々の強い要望は、放置禁止区域にしてほしいというものではなく、放置自転車対策のための公営駐輪場をつくってほしいというものだった。地元商店街の皆さんや買い物をされる地域住民の方々は不満を持っている。なぜなら、サンロード商店街に昼間自転車で買い物に来ると、買い物中に放置自転車としてあっという間に撤去されてしまうからである。営業する商店街の経営者の自転車も仕事中撤去される。放置禁止区域を告知する掲示は、商店街を出て信号待ちをする横断歩道の電信柱にテープで巻かれて張ってある。全く目立つことなく、告知を示す字は小さくて見えない。商店街には、短冊で、真ん中に自転車をとめないでくださいと書いてあるものと、自転車は店の前にとめてくださいと書いてあるものがある。ある婦人は、短冊に書いてあるように100円ショップの店の前に自転車をとめ、買い物を済ませ15分後に戻ってきたら、自分の自転車は撤去されていた。当初は盗まれたとして警察に届けたが、後に那の津の保管所にあることを知らされた。問答無用の対応にその婦人は立腹され、行政を信じられなくなったと言われている。放置自転車の撤去、移動の手順を尋ねる。また、おのおのの手順は、おおよそどれぐらいの時間がかかるか尋ねる。
△道路下水道局長 放置自転車撤去の手順であるが、各区役所の自転車対策担当課の職員が放置禁止区域を定期的に巡回し、放置自転車を確認した際には、まず移動命令の警告札を張りつける。そして、周辺エリアの巡回終了後に当該職員が委託業者に撤去を指示し、指示を受けた委託業者が警告札の張られた放置自転車を移動、集積してトラックに積み込み、保管所へ運んでいる。放置自転車については、条例の規定では放置を確認した時点で移動、保管することができるが、放置を確認し警告札を張りつけた後に周辺エリアを巡回しているため、実際に撤去するまでには一定の時間を要している。

◯楠委員 答弁の手順どおりに進んだとして、どんなに早くても撤去までの時間は40〜50分はかかる。なぜ15分で撤去ができたのか。撤去のための委託業者の車が裏で待っていたとしか思えない。先ほどの大濠公園の事例と同様に、撤去することが目的の対策となっているように感じる。今後は、地域に自転車放置禁止区域であることを知らせる告知板掲示の最善の方法や撤去のための手順の確実な履行など、丁寧な対応が求められるべきであり、地域の実情に応じた放置自転車対策が必要と考えるが、所見を伺う。
△道路下水道局長 自転車放置禁止区域であることを示すお知らせや放置自転車を撤去した際の案内掲示などについて、再確認をしていきたい。放置自転車対策の目的は、撤去ではなく、安全な歩行空間の確保や自転車の適正利用を図ってもらうことを目的として取り組んでいるものである。中洲地区で行っている地域と連携した対策事例なども参考にしながら、地域の特性に応じた放置自転車対策について検討していく。

◯楠委員 天神地区、博多駅地区、本市全体の放置自転車は、増加しているのか減少しているのか尋ねる。
△道路下水道局長 放置自転車台数については、ピーク時の平成13年と平成30年を比較すると、天神地区は平成13年が4,530台、平成30年が25台、博多駅地区は平成13年が2,143台、平成30年が84台、本市全体では平成13年が1万8,531台、平成30年が1,136台となっており、社会問題となっていた平成13年以降、放置自転車対策を強化してきたことで一貫して減少しているが、継続的に対策を実施しなければ、再び放置自転車の増加が懸念され、安全な歩行空間の確保ができなくなることから、引き続き放置自転車対策に取り組む必要がある。

◯楠委員 放置自転車撤去に関する新年度予算とその内訳、5年前、10年前と比較しての増減を尋ねる。
△道路下水道局長 31年度の放置自転車の撤去に係る予算は、撤去に係る経費が約4,800万円、保管所運営に係る経費が約9,700万円、合計約1億4,500万円となっており、5年前の26年度予算約1億2,200万円と比べ約2,300万円の増、10年前の21年度予算約1億1,900万円と比べ約2,600万円の増となっている。これは放置が問題となっていた都心部を中心に、夜間、休日などの対策を強化したことなどによるものである。

◯楠委員 放置自転車の減少あるいは横ばいを維持するには、撤去回数、撤去費用の増加が必須になっているのがよくわかる。放置自転車の撤去の強化から駐輪場整備へ転換すべきであり、歩道の安全と魅力あるまちづくりを推進するため、我が会派は、路上駐輪場にかわるタワー型、地下型の格納式駐輪機の整備を求めてきた。新年度の自転車対策予算の内訳を尋ねる。また、新年度に取り組む内容も詳細に示されたい。
△道路下水道局長 31年度の自転車対策関連予算は、放置自転車対策関連が約13億4,400万円、駐輪場整備関連が約3億9,500万円、自転車通行空間整備関連が約3億1,500万円で、合計約20億5,400万円となっている。引き続き放置自転車対策に取り組むとともに、主な駐輪場整備として、博多駅筑紫口において、地下鉄博多駅に隣接する民間ホテル建てかえに伴う附置義務駐輪場の整備と連携し、地下鉄の空間を活用した平置き駐輪場に加え、定期利用者の自転車を駐輪機入り口にセットすると自動で格納される機械式駐輪場の整備を進めていく。また、自転車通行空間整備については、南区の若久通りや東区の志賀島循環線などの整備を進めていく。

◯楠委員 整備される駐輪場に近いものをネットから取り出した。都ホテルの地下にできる予定であり、自転車を入庫、出庫するときにかかる平均時間は10秒と聞いている。このような景観にも配慮した地下エリアに駐輪場を確保し、利用者がとめたくなるような利便性の高い、自転車が自動で入出庫する機械式などの導入を進めるべきである。民間ビルの建てかえの好機を逃さず、駐輪場附置義務を生かしながら、民間とも共同して自転車の放置を防ぐことのできるまちづくりに適した駐輪場整備を進めるべきと考えるが、所見を伺う。
△道路下水道局長 駐輪場については、本来、需要を発生させる各施設において確保することが原則であると考えており、特に都心部においては民間ビルの建てかえにあわせ、利用しやすい附置義務駐輪場の整備を促進していく。また、不特定多数の利用が多い駅周辺において駐輪場が不足する場合は、民間と共同で、整備中の博多駅筑紫口駐輪場のようにさまざまな手法により利便性の高い駐輪場の確保に努める。

◯楠委員 放置自転車の数が全国ワーストだったころの状況から大きく改善したことは認めるが、現状に合った自転車対策が必要だとも思っている。これからは丁寧な放置自転車対策やさまざまな手法を用いた駐輪場の整備が進められていくことを期待して、本市のこれからの自転車施策について市長の所見を尋ねる。
△市長 本市の自転車施策については、これまで主に都心部を中心とて、安全な歩行空間の確保のため放置自転車対策に取り組んできたが、これからの自転車施策については、本市は地形も平坦で若者も多い特性も踏まえて、楠委員指摘の民間と連携した駐輪場の確保を図り、引き続き放置自転車の対策に取り組むとともに、自転車は車両であるという原則のもと、自転車通行空間の整備、自転車の適正利用に向けた指導、啓発を行うなど、市民や来街者など全ての人にとって快適な公共空間の実現に向けて、ハード、ソフト両面から総合的に取り組んでいく。
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