篠原 達也 
<平成31年第1回定例会 条例予算特別委員会/03月08日 総会質疑>
◯篠原委員 公明党福岡市議団を代表して、持続可能で質の高い市民サービスの実現に向けて、災害時を想定した地域防災,減災対策の推進について質問する。
初めに、持続可能で質の高い市民サービスの実現に向けて尋ねる。
日本社会は、その歴史上、初めての大幅な人口減少に直面している。特に生産年齢人口と呼ばれる15〜65歳の減少が急激に進むことが見込まれる中、男性、女性を問わず、仕事と育児、介護の両立は、女性のさらなる社会進出の後押しにもなり、官民を問わず、ワーク・ライフ・バランスのとれた持続可能な職場環境を整備していくことが求められている。しかしながら、夜間に市役所の本庁舎の前を通ると、いつ見ても、遅くまで職場の明かりがついている。長時間労働の解消は業務の生産性を上げるためにも、また、職員の働き方改革という意味でも重要な課題である。
まず、市役所職員の時間外勤務の状況などについて何点か尋ねる。初めに、本市で定められている時間外勤務の目安となる年間の上限時間は何時間で、それを超過した職員の割合の過去3年分を尋ねる。
△総務企画局長 時間外勤務の年間における上限の目安時間については、時間外勤務の縮減に関する指針に360時間と定めており、市長事務部局において、これを超えて時間外勤務を行った職員の割合は27年度が7.3%、28年度が8.2%、29年度が6.9%である。

◯篠原委員 国が定めた過労死の認定ラインとなる時間外勤務の時間数を尋ねる。
△総務企画局長 厚生労働省によると、過労死等の認定に当たり、発症前1カ月間におおむね100時間、または発症前2カ月間ないし6カ月にわたって、1カ月当たりおおむね80時間を超える時間数が業務との関連性が強い時間外労働とされている。

◯篠原委員 本市において月80時間を超える時間外勤務をしている職員の人数はどのくらいか過去3年の人数を尋ねる。
△総務企画局長 市長事務部局においては、年間の延べ人数で27年度が521人、28年度が506人、29年度が343人である。

◯篠原委員 時間外勤務の縮減に向けて、どのように取り組んでいるのか。
△総務企画局長 時間外勤務の縮減については、職員の健康を保持するとともに、ワーク・ライフ・バランスの観点から大変重要と認識している。このため、時間外勤務の縮減に関する指針を策定し、事前命令の徹底や業務の効率的な遂行などについて所属長に周知するとともに、全庁一斉定時退庁日や時間外勤務の上限の目安時間の設定、定時退庁を促す庁内放送、さらには退庁を促すメッセージを職員のパソコン上に自動表示するなど、さまざまな取り組みを実施している。

◯篠原委員 時間外勤務の縮減に向けてさまざまな取り組みが行われているが、まだまだ十分な効果が上がっているとは言えないようである。近年は少ない労働力で生産性を飛躍的に向上させる有名な手段としてRPAやAIといった先端技術への注目が高まっている。
まず、RPA、AIの概略と、市役所の業務に導入することで、どのような効果が期待できるか尋ねる。
△総務企画局長 RPAについては、ロボティック・プロセス・オートメーションの略で、定例的、定型的な事務作業をパソコン上で自動的に行わせるソフトウエアである。事務の作業手順を事前に設定することにより、ワードやエクセルといったパソコンソフト、ウエブブラウザ、個別の業務システムなどを自動的に操作して、事務作業を繰り返し実施することができる。また、AIについては、アーティフィシャル・インテリジェンスの略であり、一般的には、コンピューターが人間のように見たり、聞いたり、話したりする技術と言われており、大量のデータからルールや知識をみずから見つけ出す機械学習技術を初め、画像や動画などから文字や顔などの特徴を認識、検出する画像認識技術、また、話し言葉のような自然言語を認識し、文字列に変換する音声認識技術などがある。 このようなRPAやAIを行政事務に導入することにより、これまで職員が長時間かけて行っていた作業や分析をより正確に短時間で完了するといった大幅な業務の効率化などが期待できると考えている。

◯篠原委員 RPAはパソコン上で行う繰り返しの多い事務作業をあらかじめ職員が指示したとおりに、夜間を問わず、黙々と、ミスなく、スピーディーに処理するソフトウエア、AIは人工知能による学習機能が備わっていて、大量の情報を学習させることで、人にかわって判断業務の一部もやってくれるバーチャルな職員と言える。このRPAやAIを自治体の業務に導入する動きは既に全国に広まっている。RPAを活用した事例としては、ふるさと納税の電子メール受け付けからデータの取り込みまでの一連の事務をRPAで自動化した熊本県宇城市の事例や、個人住民税の登録や法人市民税の審査など、5つの業務をRPAで自動化した茨城県つくば市などがある。また、AIを活用した事例としては、会議録の作成に音声を認識してテキスト化するAIを活用している山形県の事例や、保育所選定に選考ルールを学習させたAIを導入したさいたま市などがある。
本市では、RPAやAIを活用した取り組み事例はあるのか、あれば、取り組みの内容とどのような効果が得られたのか尋ねる。
△総務企画局長 RPAについては、平成30年7〜8月に、ふるさと納税関連事務や税に関連するシステムへの帳票データの入力など、5つの業務において適用可能性と効果を検証する実証実験を実施している。効果については、2カ月間の実験結果をもとに、年間の業務時間に換算すれば合計521時間分の作業を自動化できると考えられる。また、AIに関しては、利用者からの粗大ごみの収集申し込みについて、話し言葉で書かれた内容をAIが理解して、自動的に受け答えするAIチャットボットの実証実験を現在行っているところで、まだ効果検証には至っていないが、業務の効率化につながる結果を期待している。

◯篠原委員 新年度は、どのような分野で具体的にどう取り組むのか。
△総務企画局長 31年度のRPAの導入については、国民健康保険業務におけるシステムへのデータ入力作業など10〜20程度の事務での活用を図りたいと考えており、現在、使用するRPAソフトとその導入支援業務の提案公募を実施中である。また、AIについては、大量のデータを収集、蓄積し、AIに学習させる必要があるなどの課題もあるが、現在実施中の実証実験の結果などを踏まえながら、本格導入に向けて取り組む。

◯篠原委員 取り組みを進める上では、情報通信技術に詳しい職員を確保する必要があると思うが、人材の確保や育成についてはどう考えているのか。
△総務企画局長 本市では社会人経験者を対象とした採用試験において、関連する民間企業等での業務経験がある職員を採用している。また、職員への研修として、民間企業や他都市におけるAIの活用事例及び企画立案方法などを学ぶ研修や、民間企業と連携し、データ分析の基礎的なスキルを身につける研修、さらにはデータを活用した施策立案を行う実践演習などを実施するほか、外部の研修やセミナーへの職員参加などにより、情報通信技術に詳しい人材の育成に努めている。

◯篠原委員 RPAには、業務の生産性を飛躍的に向上させる可能性を秘める反面、課題もある。RPAは機械化による一種のアウトソーシング、外部委託であり機械化が進めば、やがて機械にしかわからない仕事が出てきたり、機械による不適切な業務処理に職員が気がつかない事態も懸念される。このような事態の防止のため、業務フローの見える化を図り組織で共有することが重要と思うが、所見を尋ねる。
△総務企画局長 現在実施しているRPA導入支援業務の提案公募においては、対象となる業務フローの整理を支援することも委託内容として盛り込んでいる。個別業務へのRPAの導入に当たっては、業務フローの見える化を進めるとともに、既存の事務手順の見直しなどを行い、業務全体の最適化を図っていきたい。

◯篠原委員 本市のAI活用はまだ実証実験であるが、先日、戸籍の審査業務にAIを導入した大阪市を視察してきた。大阪市の取り組みで印象的だったのがAI導入の狙いである。業務効率化や市民サービスの質の向上はもちろん、団塊世代の大量退職などによって次世代への知識、ノウハウの継承が課題となる中、これを補うツールとして知識支援型のAIに着目していた。制度が比較的安定しており、関係法令や運用が複雑な戸籍事務の審査、問い合わせ業務にスポットを当て、経験の浅い職員が関係法令や専門書籍を調べたり、管轄法務局への問い合わせなどへの多くの時間と労力を省くための検索機能と学習機能を備えたAIを開発、導入している。その結果、AIの検索精度は87.6%という高い数値を実現するとともに、現場職員のアンケート結果でも、約7割の職員が専門知識の幅を広げるのに役立ったとのことである。このような潜在的なニーズは、戸籍事務に限らず、例えば選挙事務や生活保護業務、税務部門などにも幅広く当てはまるのではないか。本市でも経験の浅い職員の支援を目的とした知識支援型AIの導入を積極的に検討してはどうか。
△総務企画局長 知識支援型AIについては、職員の知識をサポートし、業務の効率化、高質化につながる可能性が高い技術であると考える。AIの活用については、大量のデータを収集、蓄積し、AIに学習させる必要があるなどの課題もあるが、今後、他都市の取り組みなども参考にしながら、導入可能性について検討を進める。

◯篠原委員 忘れてはならないのは、先端技術などを活用して業務の生産性を向上させる真の目的である。あくまでも職員一人一人に働きがいを感じてもらえる持続可能な職場づくりであり、さらには、その先にある市民サービスの向上でなければならない。生産性向上の取り組みが人員削減の手段にされることがあってはならないが、所見を尋ねる。
△総務企画局長 RPAやAIの導入目的は人員削減ではなく、業務を効率化することによって、職員の業務負担の軽減を図り、相談業務など、人にしかできないような市民サービスの向上につなげられる取り組みとなるように進める。

◯篠原委員 昨年出版された市長の著書には次のような一文がある。「ワンストップではなくノンストップ。テクノロジーと行政の組み合わせは、市民の利便性の格段の向上につながります。このような議論には必ず「パソコンを使いなれていない高齢者に優しくない」という反論がつきものですが、オンラインは外出がおっくうになる高齢者ほど恩恵がある。買い物も、各種手続も、かかりつけ医に診てもらうことすら、家にいながら全てできるようになるからです」という一文である。この一文が近い将来、本市で実現されるよう、ぜひ取り組みを加速してもらいたい。喫緊の課題としては、これからの引っ越しシーズンに見られるような区役所の諸手続に係る来庁者の負担軽減である。ちょうど一昨日、本市は引っ越しの手続に必要な書類などの問い合わせをスマートフォンの無料通信アプリLINEで行うようにする実証実験を始めた。さらに新年度は、行政手続のオンライン化や情報通信技術を活用した区役所来庁者の負担軽減やサービス向上にどのように取り組むのか。
△市民局長 区役所における行政手続については、引っ越しの際の手続の負担軽減を図るため、市民にスマートフォンなどから事前に申請に必要な情報を送信してもらい、来庁時には申請書類への署名などだけで手続が完了するオンラインサービスを、2020年1月から開始する。これに伴い、天神、博多駅、千早の証明サービスコーナーにおいて、土日における引っ越し手続の受け付けを行う。また、マイナンバーカードを活用して、引っ越しや子どもが生まれた際などに必要となる複数の申請書類を一括して自動作成する機械を2019年12月から中央区役所に試験的に導入するなど、窓口における手続の簡素化や待ち時間の短縮を図り、市民サービスの向上に努める。

◯篠原委員 中央区役所の事例のように、マイナンバーカードが使えるサービスが充実すれば、カードの普及率も向上する。マイナンバーカードを活用したサービスを積極的にふやしていくべきだと思うが、所見を尋ねる。
△総務企画局長 2020年度から医療機関の窓口でマイナンバーカードによりオンラインで健康保険の資格確認が行えるような仕組みの整備について、国において検討が進められている。また、行政手続に関しては、マイナンバーカードに登載された電子証明書の機能を使用することにより、厳格な本人確認が必要な手続についても、マイナポータルを初めとして、オンラインでの申請が可能である。今後とも、関連する局や区と連携しながら、マイナンバーカードを使用したオンライン申請などの行政サービスの充実を図り、マイナンバーカードの一層の普及に努める。

◯篠原委員 2015年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標、いわゆるSDGsに掲げられた17の目標の8番目には「働きがいも経済成長も」という項目がある。SDGsは、生産性の向上と技術革新により持続的な経済成長を促進することを狙いとしたもので、国を挙げてこれを推進していくこととされているが、今後、我が国全体の生産年齢人口が減少していく中で、本市役所においても限られた財源や人員のもと、革新的な技術を積極的に取り入れながら、より質の高い市民サービスを持続的に提供していける体制をつくっていかなければならない。SDGsに即して言うならば、働きがいも市民サービスも、この2つの両立が今後の市政運営の喫緊の課題である。
持続可能で質の高い市民サービスの実現に向けた市長の決意を尋ねる。
△市長 少子高齢化の進展などの社会経済情勢の変化や市民ニーズの多様化による行政需要の増加が見込まれる中、持続可能な市政運営を実現のためには、業務の効率化など、不断の改善に取り組むことが重要である。RPAもしくはAIなどの先端技術を積極的に活用しながら、行政手続や市民サービスのデジタル化、オンライン化を推進することで、業務の効率化、生産性を高め、職員の業務の負担を軽減することによって、一方では、相談業務や福祉の分野などの人にしかできない、人のぬくもりが必要な業務に費やす時間を確保し、これからの時代にふさわしい市民サービスの提供や仕組みづくりを積極的に推進していく。今後とも、ICTを活用した業務の改善、先進的な民間提案を積極的に受け入れ、あらゆる産業や社会生活への実装を支援することによって、さまざまな社会課題の解決と、新たなサービスの創出に取り組み、全ての人が生き生きと快適に暮らすことができる超スマート社会の実現を目指したい。

◯篠原委員 次に、災害時を想定した地域防災、減災対策の推進についてである。昨年、日本列島は相次ぐ自然災害に見舞われ、電力や交通など重要インフラが甚大な被害を受けた。災害が頻発、激甚化する中、防災、減災対策を加速させる必要がある。過去の市議会でも何度も取り上げられているが、本市でいざ大規模な地震や水害が発生したとき、果たして本当に市民の生命や生活を守ることができるのかという観点から、改めて地域防災、減災対策の現状と課題について質問する。東日本大震災から8年目となる前に、日本財団が災害に対する若者の意識調査をしたところ、77.6%が災害に不安を感じると回答した。不安な理由は、複数回答で尋ねると、68.9%の人が災害多発国だからと回答。一方で、地域で定められた避難場所を5割の人が知らないという結果であった。また、大規模災害に対する国の防災対策に関しては不十分とする回答が80.9%に上った。まず、災害発生直後を想定した対策について、大規模地震の発生や集中豪雨による避難勧告などが出された場合には、市民に対して正確な情報提供が重要であるが、災害発生時の情報の伝達手段をどう確保しているのか尋ねる。
△市民局長 テレビやラジオを初め、ホームページへの掲載や防災メール、各種SNSや緊急速報メールなどによって広く発信するとともに、広報車を利用し、地域における周知を図るなど、多様な手段を用い、迅速かつ的確な情報発信を行っている。

◯篠原委員 日本語がわからない在住外国人や訪日外国人旅行者への情報伝達はどのようになっているのか。
△総務企画局長 災害情報を英語、中国語、韓国語の3言語と易しい日本語を基本として、本市ホームページに掲載するほか、地域の外国語FM放送であるLOVE FMで10カ国語による放送を行うとともに、(公財)福岡よかトピア国際交流財団のホームページやSNS等において外国人に必要な情報の提供を行っている。平成28年の熊本地震において、必要な情報が手に入らず、多数の外国人が混乱したことなどを踏まえ、本市では平成30年3月から、外国人からの相談、問い合わせ等への対応や、必要な情報の翻訳、発信のほか、避難所などへの通訳者等の派遣を行う災害時外国人情報支援センターを同財団と共同して立ち上げることとしている。
△経済観光文化局長 訪日外国人旅行者への対応については、災害発生時には観光情報サイトよかなび、福岡観光コンベンションビューロー等のホームページに災害情報等を多言語で掲載し、情報提供を行っている。また、博多駅及び天神の観光案内所において、災害に係る交通状況や宿泊施設の予約に関する情報を多言語で提供している。

◯篠原委員 避難勧告の発令などの緊急情報は、障がい者など情報が届きにくい市民に対しても確実に伝達し、逃げおくれないよう対処すべきであるが、どう取り組んでいるのか。
△市民局長 視覚障がいや聴覚障がいのある要支援者に対して、自宅の固定電話やファクスを利用し、確実に避難情報等を伝達するシステムを31年度から導入することとしており、今後とも災害情報の迅速かつ的確な発信に努めていく。

◯篠原委員 災害情報を受け取った後は、避難所まで安全に避難することが重要である。現在の防災ハザードマップは紙媒体の大きなもので、地震による揺れやすさマップのほか、災害の種類ごとに土砂災害、浸水、津波という3つのハザードマップが作成されている。このため、いざ使おうとしたときに、どこにしまい込んだかわからなかったり、縮尺の関係で、自分の住む場所や避難所までの安全なルートを確認することも困難である。
防災ハザードマップについて、使いやすく、わかりやすい工夫を検討してはどうか。
△市民局長 土砂災害、浸水、津波などの各種ハザードマップをデジタル化し、総合的に表示できる総合ハザードマップの作成を進めており、30年度中に公開したい。総合ハザードマップは、パソコンやスマートフォンにより、市民が必要なときに必要な情報を確認できるものとなっており、複数の災害リスクを重ね合わせて表示することや、任意の場所を拡大し、印刷することも可能である。また、自治会などでこれらの機能を使って独自のハザードマップを作成し、防災訓練を実施してもらうなど、地域の防災力向上につなげたい。

◯篠原委員 災害はいつ起こるかわからない。平日の夜間に災害が発生すれば、公共交通機関に影響が出て、大量の帰宅困難者が予想される。帰宅困難者対策として、鉄道の代替輸送手段の確保や運行再開に関する調整をする仕組みなどが必要と思うが、所見を尋ねる。
△市民局長 地域防災計画において、各鉄道事業者がバスなどによる代行輸送を実施することとなっている。また、運行再開などの運行情報については、官民が共働して策定した都市再生安全確保計画において、関係事業者と連携しながら、情報収集、発信などを行うこととしている。

◯篠原委員 徒歩や自転車で帰宅する市民が安全に帰ることができる支援も必要と思うが、所見を尋ねる。
△市民局長 徒歩などでの帰宅者支援については、県下のガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどと本市や県において、災害時帰宅支援ステーション協定を締結しており、災害情報の提供やトイレの利用、水道水の提供などの支援を行うこととしている。

◯篠原委員 夏の猛暑の時期に高齢者や乳幼児連れの家族が小中学校の体育館に避難した場合を想定すると、空調対策も重要になる。避難所に指定されている市内の小中学校体育館のエアコンの設置状況はどうなっているのか。
△教育長 空調設備は整備していない。

◯篠原委員 近年の記録的猛暑から子どもの命を守るため、普通教室のエアコン設置を推進してきた。さらに2019年度からエアコンの使用に必要な電気代などの支援も始まる。また、政府は臨時特例交付金を創設し、市立小中学校の特別教室や体育館にもエアコン設置を促進している。本市でも、ぜひ国の補助制度を積極的に活用し、市立小中学校の特別教室や体育館のエアコン設置を検討されたい。昨年夏には災害級の猛暑が日本列島を襲い、とりわけ西日本豪雨の被災地では小中学校を避難所として使う住民を苦しめた。本市においても避難所となる小中学校体育館にエアコンが整備されていない状況の中、盛夏に災害があった場合、どう対応するのか。
△市民局長 建設資機材のリース業者と災害協定を締結しており、必要に応じて移動式クーラーを設置するなどの対策をとることとしている。

◯篠原委員 一般の避難所では対応が難しい高齢者や障がい者もいるが、福祉避難所はどの程度確保されているのか。
△市民局長 老人福祉施設、障がい者支援施設及び特別支援学校のうち、現在98カ所を指定している。

◯篠原委員 福祉避難所の対象でない妊産婦などに対しては、どのような配慮があるのか。
△市民局長 避難所となる学校の教室や公民館に福祉避難室を設けることとしており、保健師等の巡回訪問を実施するなど、必要な生活支援を行う。

◯篠原委員 避難所で必要となる水や食料のほか、忘れてはいけないのが非常用電源である。避難所となる公民館や小中学校の体育館には非常用電源がどの程度確保されているのか。
△市民局長 避難所における非常用電源については、発災当初の緊急的な照明用電源などとして使用するため、カセットコンロ用のガスボンベを燃料として使用する出力900ワットの非常用発電機を、各小学校に設置している防災倉庫に、公民館と共用で1基備蓄している。なお、停電が長期化する場合などは、複数の建設資機材のリース業者と災害協定を締結しており、各避難所の非常用電源を確保することとしている。

◯篠原委員 施設や病院に入っている市民も多いが、高齢者、障がい者が入所する施設の非常用電源は確保されているのか。また、市立病院については、治療用の医療機器の電力も含め、必要な電源を確保されているのか。
△保健福祉局長 高齢者や障がい者が入所する施設については、大規模停電等に備えるための非常用電源の確保は義務づけられていないことなどもあり、対応状況は施設により異なっているが、未設置の施設については補助制度の周知などにより、非常用自家発電設備の設置を促進していく。また、こども病院及び市民病院においては、浸水対策も考慮し、非常用電源設備をいずれも最上階に設置している。

◯篠原委員 災害時に非常用発電設備が稼働するよう日ごろの点検が大事である。災害が長期化して避難生活が長引くと、避難所ごとにさまざまな物資が必要になる。各避難所のニーズを正確に把握し、必要な物資をタイムリーに、過不足なく届けるために、どのような体制となっているのか。
△市民局長 食料や水などの備蓄については、想定避難者数約2万5,000人及び在宅避難者数約5,000人の3日分となる27万食のうち、全体の8割に当たる約22万食を博多区の埋蔵文化財センター月隈収蔵庫に、残りの約5万食を各公民館に分散して備蓄している。大規模災害発生時には、速やかに公民館備蓄分を避難者に提供するとともに、各区災害対策本部を通じて各避難所の物資ニーズを把握し、月隈収蔵庫から配送することとしている。また、小売事業者との災害協定により、流通在庫を優先的に確保できるようにするとともに、避難所までの確実な物資輸送が行えるよう、物流事業者と災害時の救援物資輸送協定を締結するなど、迅速かつ的確な食料などの物資の供給に努めていく。

◯篠原委員 月隈収蔵庫と各公民館に8対2の割合で分散して備蓄しているが、災害発生時の各公民館などの避難所への物資輸送を考えると、近距離のほうがさまざまなリスクを回避できる。備蓄倉庫をまず区単位で検討してはどうか。
△市民局長 各避難所への物資搬送の迅速化につながるよう、災害時に予想される道路の渋滞等も考慮しながら、より効果的、効率的に搬送するための物資の搬送拠点や区単位での備蓄についても検討する。

◯篠原委員 熊本の震災では、必要な物資が避難所まで届かないといった問題が指摘された。また、指定の避難所以外の広場で車中泊やテント泊をする避難者の状況が把握できなかったため、指定外避難所への支援がおくれたことも問題視された。これらの課題を踏まえ、本市では防災アプリを開発し、導入していると聞いたが、どのようなアプリか。また、平時はどのように活用しているのか。
△市民局長 防災アプリ、ツナガル+(プラス)については、震度6以上の大規模地震が発生すると災害時モードへ自動的に切りかわるとともに、アプリ上に現在地周辺の全ての避難所を表示し、選択した避難所までのルートを表示するほか、避難所コミュニティに参加することで被災状況や支援情報を共有できるといった機能を備えたものである。また、指定避難所以外の場所に避難した被災者がアプリ上で避難場所においてグループを作成し、行政に対して場所や被災状況及び支援要望を発信できるため、必要な物資の配送など、迅速かつ的確な支援が可能となる。平常時は、自治協議会やPTAのさまざまな地域コミュニティでグループを作成でき、グループ内での情報共有や電子掲示板として活用できるほか、地域でのイベントや交通規制といった情報を現在地周辺の方に向けて発信できる機能を備えている。今後とも、平時から使える防災アプリとして広く市民に使ってもらえるよう、さまざまな場面を通して周知を図り、普及に努めていく。

◯篠原委員 大規模な災害が発生すると、大量の災害ごみも発生するが、放置されると衛生上の問題だけでなく、緊急車両などの交通の妨げにもなる。本市では、災害ごみが大量に発生した場合の分別、収集、処理について、どう想定しているのか。
△環境局長 大規模地震が発生した場合に、発災直後から大量に発生することが予想される災害ごみを迅速かつ適正に処理することは極めて重要なことと考えている。現在、策定を進めている災害廃棄物処理計画の中で、地震や水害などさまざまな災害を想定した災害ごみの発生量の推計を行うとともに、発災後は市民が適正に分別、排出ができるよう、速やかに地域にごみの集積場を設置することとしている。また、災害ごみの収集、処理についても、平時のごみ処理体制を可能な限り維持しながら、災害の規模に応じて収集業者と連携し、体制を組み直して対応していく。なお、被害が甚大で本市単独でのごみ処理が困難となる場合においては、災害時支援協定等に基づき、日ごろから合同研修などを実施して連携を図っている他の自治体や民間事業者等にも支援を要請し、災害ごみを迅速かつ的確に処理することとしている。

◯篠原委員 避難所生活が長期化すれば、避難者の住まいの確保が必要になる。仮設住宅の建設には一定の時間がかかり、本市として独自支援が必要ではないか。
△住宅都市局長 仮設住宅による対応は、供給開始までに一定の期間を要することから、一時的な避難先としての住宅が必要である。そのため、住宅が被災し、居住が困難となった被災者に対しては、市営住宅の空き住戸を提供している。また、県や都市再生機構などと情報共有を図り、被災者向けの住宅の情報提供をすることに加え、不動産業者団体に対して、被災者向けに敷金、礼金なしで利用が可能な民間賃貸住宅の情報提供を依頼している。今後とも、関係団体等と連携し、被災者支援の迅速な対応を図っていく。

◯篠原委員 災害の痛みを最小限に抑えるためには、地域や市民一人一人が日ごろから災害を意識した取り組みや備えを進めることが最も重要である。現在、多くの校区でそれぞれ自主防災訓練を実施している。このような訓練は繰り返し継続することが重要である反面、毎年同じ訓練であると、どうしても緊張感が薄れ、マンネリ化も懸念される。東京都大田区の大森3丁目連合会では、災害時に負傷者らの緊急援護に当たる市民救護隊を独自に立ち上げ、約45年間にわたって月1回の訓練を続けている。定番の訓練だけを繰り返さずに、時には防災と直接関係がなくとも人々の関心が高い話題のテーマを取り扱い、例えば、老化防止の体操や口腔ケアの講座を開くと会場がいっぱいになると聞く。このように、楽しんで参加できる工夫が必要ではないか。本市でもマンネリ化を防ぐために、各地域で工夫されている取り組みなどはあるか。
△市民局長 例えば、男女別更衣室や授乳室の設置を行うなど、女性の視点を生かした避難所運営訓練や、福祉事業者などと連携し車いすを使用した要配慮者の避難支援訓練を行うなど、地域の特性を生かし、多くの参加がある訓練となるよう工夫が行われている。

◯篠原委員 取り組み事例が他の地域でも参考にしてもらえるよう、しっかりと周知されたい。次に、地域の防災リーダーの育成状況と防災士の資格取得の状況について尋ねる。
△市民局長 地域や企業における防災リーダーを養成し、地域防災力の向上を図ることを目的として、17年度から博多あん・あん塾を実施しており、修了者には防災士試験の受験資格が与えられる。17〜30年度までの修了者1,107人のうち、1,053人が防災士の資格を取得している。

◯篠原委員 防災士の有資格者が1,000人以上いる。しっかり活躍をしてもらいたい。 昨年の西日本豪雨では、全国で860万人に避難指示、勧告が出されていたにもかかわらず、実際に避難したのはわずか4万人ほどで、情報を素早く正確に発信しても、逃げない人や避難勧告と指示の違いがわからない人もいるなど、行政と住民の食い違いや住民の防災知識の不足などの指摘もある。市民一人一人で取り組める備えとして注目されているのが、災害時に家族がどのように行動するのかをあらかじめ時系列順に確認して共有しておくマイ・タイムラインであり、本市でも作成を促す取り組みを進めてはどうか。
△市民局長 災害発生時にみずから身を守る方法や避難などについて、平常時から考え、あらかじめ決めておくことは重要なことである。現在、デジタル化を進めている総合ハザードマップを使い、避難所の位置や避難経路の確認を行ってもらうとともに、マイ・タイムラインの普及についても検討していきたい。

◯篠原委員 平成を振り返ると、阪神・淡路大震災や東日本大震災を初め、大規模な地震や豪雨などによる災害が相次いで発生した。九州でも、平成28年の熊本地震や昨年7月の西日本豪雨は、まだ記憶に新しいが、平成17年には、この福岡でも震度6弱を観測した福岡県西方沖地震があり、死者1名を含む甚大な被害をもたらしたことも決して忘れてはならない。熊本地震では、震度7を観測した最初の揺れだけで終わらず、その後の3日間で震度6弱以上の地震が合計6回も発生した。このような地震がいつまたこの福岡で発生しないとも限らない。自然現象は、残念ながらとめることはできないが、被害を少しでも小さくすることや災害からの復旧を少しでも早くすることはできる。いざというときに市民の生命と暮らしを守るために、ふだんから、いつでも災害が起き得るという認識を市民としっかり共有し、あらゆる備えを万全にしておく必要がある。今後の地域防災、減災対策に向けた市長の所見を尋ね、質問を終わる。
△市長 平成30年7月豪雨や北海道胆振東部地震など、近年、大規模な自然災害が続いており、防災、減災対策を推進していく上で、平常時から市民の防災意識、また、地域の防災力を高めておくことが大変重要である。本市では、31年度から新たな浸水ハザードマップの作成、また、IoTを活用した河川水位観測網の構築、情報取得困難者への災害情報配信システムの導入など、市民の迅速かつ適切な避難行動の促進に向け、情報収集や発信機能を強化していく。また、大規模災害時における水の確保、ごみ処理の対策などに加え、高齢者、障がい者などの要配慮者への支援、さらには、増加を続ける外国人観光客への避難支援など、防災、減災の取り組みを進める。今後とも、市民のとうとい命とその財産を守ることを第一に、災害に強いまちづくりを進め、防災先進都市福岡を目指していく。
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